道場の出入りに忘れてはならない礼儀


道場に出入りするときの礼は、先生からいわれたからやる、というものではありません。道場はきみに剣道を教えてくれる大切な場所です。
正面には神殿(神だな)がつくられています。神さまの前ではずかしくない心で剣道をするという意味があるからです。
道場に入るには、まずはいてきたくつやスリッパをきちんとつまさきを外側にむけてそろえます。これは、どんなことが起きても、すぐはきものがはける、という武士の心をくみ入れたものともいえます。ぬぎっぱなしでは、いそいではくとき、片方があちら、もう片方がこちらといった状態や、入口の方向につまさきがむいていては、はくにも時間がかかります。
はきものをきちんとそろえたら、道場の入口で礼をします。はじめに道場全体に、つぎに神殿にむかって礼をします。もし入口が神殿に向かっていれば一度でよいわけですが、心から「おねがいします」という気持ちで礼をしなければなりません。よく、かけこんできながら形だけピョコンと頭をさげている子がいますが、きちんととまり、足をそろえ、おじぎしましょう。これは道場を出るときも同じです。出口できちんと神殿に向かい、礼をします。
見学にやってくる父兄の方たちも同じ作法をしなければなりません。おどうさんやおかあさんが知らなければ、きみが教えてあげましょう。
また、帰るときは先生に「ありがとうございました」とあいさつの礼をすることも、忘れてはならないことです。

気持ちを集中させて大きな声をだそう


はじめて道場の門をくぐったとき、けいこをしている先輩たちが、大きな声をあげているのに驚いたでしょう。声をだす、というのは剣道ではかかせないことなのです。おなかの底から大きな声を出せば、心がほかにうつらず、気持が集中します。また、気持が集中すると、気合のこもったかけ声が自然にでてくるものです。気合がこもらず、ただ口さきだけでどなるように大声をだしても、それは犬の遠ぼえのように、ただかん高く、聞きづらいかけ声になってしまいます。
はじめは大声をだすのもはずかしく、先生から注意されることもあります。おなかに力を入れ、まわりのことにとらわれず、大きな声をだしてみましょう。その気持のよいことにきっと気がつくでしょう。
けいこのはじめやあとで行われる道場の誓いのことばの唱和も、気持を落ちつけ、ひとつ息をしてから、大きな声で唱和します。
けいこのなかでは足さばきの練習でも「一、二、三」とかけ声をかけます。
打ちになれば「イヤー」とか「ヤーヤーヤー」というかけ声をあげたり、打ちこむ場所を「メーン」「ドー」「コテー」といいながら打ちこみます。これは相手に負けない、という心をあらわすものであり、同時に自分のリズムをとる、ということでもあります。
声をだしてけいこをすると、十回の運動でも二十回の運動をしたのと同じことになります。ですから、大きな声を、気持を集中してだすというのは、忘れてはならない第一歩です。

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